
【特定技能】外食 | 人事部必見!特定技能「外食」の活用方法と採用時の注意点とは
日本の飲食業界は、少子高齢化による深刻な労働者不足に直面しています。この課題を解決するため、2019年に創設された特定技能「外食」在留資格制度は、外国人労働者の受け入れを可能にしました。
この制度により、レストランや居酒屋、ホテル内レストランでの調理や接客、店舗管理業務など、幅広い職種で外国人が働けるようになりました。特定技能「外食」の導入により、業界の人手不足解消が期待されていますが、外国人材を受け入れる際にはいくつかの注意点があります。本記事では、特定技能「外食」の仕組みや活用方法、導入時のポイントについて解説します。
目次[非表示]
特定技能「外食」とは?
特定技能制度は2019年に創設された制度で、特定技能1号と2号の2種類があります。特定技能「外食」は、外国人労働者を受け入れることで日本の外食業界の人手不足を解消するための制度です。また、訪日観光客の増加に伴う顧客ニーズの変化にも対応するため、外国人労働者の活用が期待されています。
この制度は、レストランや居酒屋などの調理や接客、店舗管理業務に従事できる外国人を対象としていますが、コンビニ業種は対象外となっています。
特定技能「外食」ができた飲食業界の背景
日本の外食産業は深刻な人手不足に直面しており、2021年の有効求人倍率は2.6と全産業平均の1.2より高い水準です。多くの外国人労働者は留学等の在留資格で資格外活動許可を得て働いていますが、就労時間に制限があり、十分な対応が難しい状況です。
これに対処するため、特定技能「外食」が注目されています。
出典:農林水産省『外食業分野における特定技能外国人制度について』
特定技能「外食」を持つ外国人が増加
特定技能「外食」分野の外国人労働者数は急増しています。2023年12月末時点で累計13,312人に達し、1年前から約2.5倍の増加を見せました。この急成長の背景には、新型コロナウイルスの影響で一時的に制限されていた飲食店の営業再開や、留学生の減少によるアルバイト採用難が影響していると予測されています。
また、2022年から2024年にかけて需要はさらに高まり、2024年度から5年間の受け入れ見込み数は最大53,000人に達する見込みです。今後も外食業の需要は高まり続けると見込まれ、特定技能外国人の採用による人手確保がますます重要になります。
出典:出入国在留管理庁『特定技能在留外国人数の公表等』
特定技能「外食」で雇用可能な業種・業務・雇用形態
次に、特定技能「外食」で雇用可能な業種や業務内容、雇用形態について解説します。
業種
特定技能「外食」で扱われる業種には、食堂やレストラン、料理店、喫茶店、ファーストフード店などの外食業のほか、テイクアウト専門店やフードデリバリー、仕出し料理や弁当屋なども含まれます。
特定技能「外食」があればテイクアウト専門店・フードデリバリーで働ける?
特定技能「外食」の外国人は、業務内容の一部としてデリバリー業務を行うことは可能ですが、調理や接客を伴わないデリバリー業務のみの従事はできません。つまり、デリバリー業務はあくまで他の業務と組み合わせて行う必要があります。
また、2023年4月現在、他の就労ビザでもフードデリバリー業務のみを担当させることはできないので、ご注意ください。
出典:農林水産省『外食業分野における外国人材の受入れについて』
ホテル内のレストランで働ける?
ホテルなどの宿泊施設では、調理や配膳、接客業務に従事することが可能です。具体的には、料理の配膳、盛り付け、洗い物、皿のセッティングなどが含まれます。ただし、ホテルのフロント業務やベッドメイキングなど、その他の業務には従事できません。ホテル業務全般を担当してもらいたい場合は、特定技能「宿泊」分野に該当する外国人を採用する必要があります。
業務内容
特定技能「外食」の外国人労働者は、飲食物の調理、接客、店舗管理、原材料の仕入れ、配達など、外食業全般に従事できます。病院の給食施設勤務も可能ですが、風営法に基づく接待業務は禁止です。外国人労働者は、観光地などでの接客において、きめ細やかなサービス提供にも貢献します。
出典:農林水産省『外食業分野における特定技能外国人制度について』
雇用形態
特定技能「外食」において、外国人労働者の雇用形態は直接雇用のみで、派遣や日雇いは認められていません。雇用条件としては週5日以上、年間217日以上の勤務、週30時間以上の労働が求められます。違法な雇用形態や接待業務を行うと、企業に罰則が科される可能性があるため、注意が必要です。
出典:農林水産省『外食業分野における特定技能外国人制度について』
特定技能「外食」の取得要件と方法
特定技能「外食」の在留資格を取得するには、まず「外食業特定技能1号技能測定試験」と「日本語能力試験」に合格する必要があります。
ここからは、「日本語能力試験」と「技能測定試験」について、より具体的に解説していきます。
日本語能力試験
特定技能「外食」の外国人に求められる日本語能力は、日本語能力試験(JLPT)または国際交流基金日本語基礎試験のいずれかで測定されます。
国内の場合はJLPT N4以上、国外の場合はJLPT N4以上または国際交流基金日本語基礎試験A2以上に合格する必要があります。
外食業特定技能1号技能測定試験
特定技能「外食」の1号技能測定試験は、国内外で年に3~4回開催され、試験科目は「学科試験」と「実技試験」の2つです。学科試験では外食業務に必要な日本語能力、実技試験では正しい行動選択と作業計画の能力が問われます。
試験は主に3月、8月、11月に実施され、国内では10都市以上、海外ではフィリピン、インドネシア、ネパール、ミャンマー、カンボジア、タイ、スリランカなどで行われています。2023年第1回の試験では、合格率は66.4%で、農業などの分野と比較するとやや難易度が高いとされています。
出典:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構『2023 年度 外食業特定技能1号技能測定試験 第1回国内試験 合格者発表』
外食業特定技能2号技能測定試験
特定技能2号は2023年に介護以外の11分野に拡大され、外食業もその対象に含まれるようになりました。
2024年3月からは、特定技能「外食業」の技能試験が始まり、292人が受験し、113人が合格しています。すでに特定技能2号として働き始めている人もいます。
特定技能2号の大きな特徴は、家族帯同が可能で、在留期限の更新に回数制限がないことです。このため、長期的に働きたいと考えている外国人にとっては非常に魅力的な選択肢となっています。さらに、在留期限を更新し続けることで、永住権の取得も視野に入る可能性があります。
こうしたメリットから、特定技能2号を取得したいと考える外国人労働者が増加しています。
出典:出入国在留管理庁『外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組』
受け入れ企業側の注意点
特定技能「外食」を活用して外国人材を受け入れる企業は、一定の要件を満たす必要があります。
食品産業特定技能協議会への加入
特定技能「外食」の外国人を雇用するには、必ず「食品産業特定技能協議会」への加入が必要です。この協議会は農林水産省が運営し、構成員間での情報共有や法令遵守の啓発、受け入れ状況の把握などを目的としています。
協議会への加入は、初めて特定技能外国人を雇用してから4ヶ月以内に行わなければなりません。なお、現時点では入会金や会費は無料です。
出典:農林水産省『食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について』
賃金は日本人と同等以上にする
特定技能では、外国人労働者の報酬は日本人と同等、またはそれ以上でなければなりません。例えば、同じ業務に従事する日本人と外国人に対して、理由なく報酬に差をつけることはできません。また、報酬以外の福利厚生などの待遇も、同様に平等である必要があります。なお、外国人労働者の報酬や待遇については、入国管理局によって定期的な確認が行われます。
接待飲食等営業関係で就労させない
特定技能「外食」においては、接待飲食等営業での就労が禁止されています。これは風俗営業法に基づき、低賃金で外国人を雇用することを防ぐための規定です。具体的には、キャバレーやクラブなどの接待業務で外国人を雇うことは法律で禁じられています。フィリピンパブなども違法行為に該当し、警察による摘発が行われています。
また、一般的な外食産業でも、歓楽的な雰囲気で客をもてなす行為、例えばカフェや喫茶店でバーのようにお酒を注ぐ行為などは接待行為とみなされ、禁止されています。なお、特定技能外国人とは、特定の仕事をするために日本に来た外国人のことです。風俗営業や性風俗関連の業務を行う場所では、この特定技能外国人を働かせてはいけないことになっています。ただし、『特定遊興飲食業』という業種は、この規制に該当しません。
特定技能外国人を雇用する流れ
ここからは、特定技能外国人を雇用する流れについて解説します。
1.「特定技能雇用契約」締結
企業は面接などを通じて採用する外国人を決定し、その後「特定技能雇用契約」を結びます。契約内容を外国人労働者に正確に伝えるため、必要に応じて母国語での説明ができる環境を整えることが重要です。
2.「特定技能外国人支援計画」作成
「特定技能外国人支援計画」は、企業が外国人労働者に対して業務の円滑な遂行や日常生活の支援を行うための計画です。作成した支援計画書は外国人本人に交付し、「十分に理解した」という署名をもらう必要があります。そのため、計画内容は外国人本人が理解できる言語で説明することが求められます。
3.事前ガイダンス実施
企業は外国人に対して、オンラインなどで事前ガイダンスを実施し、健康診断を行います。これは特定技能外国人支援計画に含まれる支援の一つで、お互いの顔が見える環境で行う必要があり、書面での実施は認められていません。ガイダンスでは、業務内容や報酬額などの労働条件、活動内容、日本での入国や在留資格変更に必要な手続きなどについて説明します。
4.在留資格申請
企業は特定技能「外食」の在留資格認定証明書交付申請書を、管轄の出入国在留管理庁に提出します。申請には、健康診断の診断書をはじめ、以下の書類が必要です。
- 申請書
- 技能水準および日本語能力水準に関する書類
- 労働条件に関する書類
- 労働保険・社会保険・税に関する書類
- 外国人の支援に関する書類
申請には1〜3ヶ月程度の審査期間がかかるため、早めに申請を行い、書類の不備がないか丁寧に確認することが重要です。働いてほしい時期を考慮し、逆算して申請手続きを行うことをおすすめします。
5.「在留資格認定証明書」郵送
審査が通ると「在留資格認定証明書」が交付されます。交付後はその書類を海外にいる外国人本人に郵送します。電子メールで交付された場合は、そのメールを転送します。
6.外国人(特定技能者本人)が現地で査証(ビザ)申請
外国人は「在留資格認定証明書」を現地の日本大使館などに提出し、査証(ビザ)を申請して受け取ります。
7.外国人が来日し、就労開始
外国人は査証と在留資格認定証明書を持って来日したら、特定技能外食業の在留資格で就労を開始します。なお、在留資格認定証明書の有効期限は発行から3か月以内です。
外食業技能測定試験について
ここからは、外食業技能測定試験について詳しく見ていきます。
1.試験内容
日本で働くためには、特定技能「外食」の試験に合格する必要があります。この試験は学科と実技に分かれており、国内・国外で年に3〜4回開催されます。試験合格率は約50%です。
2.試験科目
試験科目は「学科試験」と「実技試験」の2つがあります。
1.学科試験
衛生管理や飲食物調理、接客全般の仕事で必要な日本語能力の試験です。
出典:OTAFF『外食業特定技能1号技能測定試験国内試験案内(2024年4月以降適用)』
2.実技試験
実技試験は「判断試験」と「計画立案」の2つの試験があります。判断試験は図やイラストを見て、正しい行動がどれかを選択します。計画立案は、計算式を使って作業計画を作れるかどうかが問われます。
出典:OTAFF『外食業特定技能1号技能測定試験国内試験案内(2024年4月以降適用)』
特定技能「外食」と技人国・留学生アルバイトとの違い
ここまで特定技能「外食」について説明してきましたが、飲食店では外国人が取得できる他の在留資格もあります。外国人を飲食店で雇用する際に代表的な在留資格(ビザ)は、以下の3つです。
・特定技能「外食」
・技術・人文知識・国際業務(技人国)
・資格外活動許可(留学生アルバイト)
技術・人文知識・国際業務(技人国)
「技術・人文知識・国際業務(技人国)の在留資格は、ホールやキッチンでの単純労働には適していません。これは、技人国の目的が、専門知識を日本に還元することだからです。単純作業を担当してもらいたい場合は、特定技能の方が適していると言えます。
資格外活動許可(留学生アルバイト)
外国人留学生が資格外活動許可を得て日本でアルバイトをする場合、基本的には週28時間までの労働が認められ、風俗営業に関連する業務には従事できません。また、在留資格「留学」の状態でアルバイトができるのは学校に在籍している間に限られます。よって学校を退学したり、卒業後に学校に籍がなくなると、在留資格が「留学」のままであってもアルバイトはできなくなります。
まとめ
今回は、特定技能「外食」について解説しました。特定技能「外食」は、飲食業界の人手不足解消を目的に創設された制度で、食堂やレストラン、フードデリバリーなど幅広い業務に対応しています。
外国人労働者の受け入れは業界の透明性を高め、インバウンド増加時の強みとなります。雇用時には適正な契約内容の締結と給与水準に注意が必要ですが、日本の外食産業は慢性的な人手不足なため、特定技能「外食」は有効な解決策です。
ただ、外国人労働者の雇用を検討しているけれど、日本語でのコミュニケーションや、どのような仕事を任せるべきか、どの国の人材が適しているのかなど、なにから始めれば良いのか不安な場合は、WorkinGlobalにご相談ください。
WorkinGlobalは東証プライム上場企業である広済堂グループが提供する、外国人労働者の人材紹介サービスです。アジア11カ国の提携送り出し機関と提携し、日本国内の企業様に「特定技能」「技人国」を中心とした優秀な人材をご紹介しています。
・質の高い人材をご紹介できる仕組みを構築
・ベトナムにて日本語センターを10年運営
・国内17拠点を基盤とした安心の全国対応
といった強みを持っているので、外国人材の採用をご検討中の方は、お気軽にご相談ください。
WorkinGlobalのサービスに関するご相談は、こちらからお気軽にお問い合わせください。
https://workin-global.jp/contact
お役立ち資料やセミナー動画はこちらからご覧ください。
https://workin-global.jp/downloadlist
特定技能人材の導入事例はこちらからご覧ください。
https://workin-global.jp/case